2017年05月25日

「飛行機が陸上自走する」という意味の taxi


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 近ごろ、テレビの映画は吹き替えがほとんどですね。以前にあった多重音声の映画や英語音声で字幕というのがあまり見られなくなって、さびしい限りです。

 先日、たまたま BS 放送にチャンネルを合わせたところ、1970年の 『大空港』 という、英語音声で字幕という映画をやっていました。バート・ランカスターとかディーン・マーチン、ジャクリーン・ビセットといった、古い映画好きの人には懐かしい俳優たちが勢揃いの映画です。

 見始めたのはもうエンディングに近かったのですが、そのまま見ていると、最後に次のセリフが流れました。
 
管制塔: Do you need a tow, or can you taxi, over?
副機長: We can taxi.
 
 taxi に「飛行機が地上走行する」という意味があることを知らないと、「えっ!? タクシーがどうしたの?」となるかもしれないと思ったのでした。
 
 We can taxi. の字幕は「大丈夫だ」となっていました。「自走してエプロンまで行けます(から、大丈夫です)」ということです。適確な訳だなと思ったのでした。

 
 さて、「飛行機が陸上を走る」という意味の taxi がどのようにしてできたのかを調べてみました。

 まず、taxi のことを cab とも言いますが、歴史的には cab のほうが古いようです。cab cabriolet (幌付き二輪馬車)の略で、1650年頃から使われ始めたようです。

 そして、乗る 「タクシー」 の taxi はフランス語の taximetre から来ているようです。metre の最初の -e- には、左上から右下へのアクセント記号「アクサン・グラーヴ」が付きます。

 語頭の taxi- はもともと taxe で、「料金を課す」という意味です。ネットで有名な辞書には 「メーターは tax(税金)を計算するものだったので taximeter と呼ばれた」 とありますが、間違いでしょう。
 taxe にも 「税金」 という意味はあるようですが、最初から税金のことを考えた車とは考えられませんから、「料金を課す車」と考えるのが適切でしょう。

 taximetre が英語に採用され、やがて taxi だけを取り出し、それに上で述べた cab を足して taxicab と呼ばれるようになったわけです。
 最初は、ラテン語の taxa に meter を付けた taxameter だったようですが、自然に taximeter に変わっていったようです。
 そして、taxi だけや cab だけで使われて、現在に至っています。


 さて、taxi が「飛行機が陸上走行する」という意味で使われ始めた経緯ですね。19011年頃だそうです。

 ライト兄弟が初めて飛行機の飛行に成功したのが1903年ですから、わりとすぐあとですね。

 飛行機のパイロットを育てる訓練は、1911年より2年くらい前の1909年あたりから始まっていました。そして、訓練用の飛行機には2種類あって、1つは実際に空を飛べる飛行機で、もう1つは地上滑走しかできない、翼の短い飛行機です。

 訓練生たちは、最初、翼の短い飛行機に乗って地上を走らせ、飛行機というものに慣れる訓練をします。

 このとき、教官と2人で飛行機に乗って地上を走っているさまが「タクシーに乗っているようだ」ということで、こうした訓練を taxiing と呼ぶようになり、次第に taxi が動詞として使われるようになっていったそうです。


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posted by 赤井田拓弥 at 12:02| Comment(0) | 電子ブック