2019年06月26日

「キジラ」とは?


 屋久島に移り住んだ人や梅雨時期に屋久島旅行をする人たちを恐れさせているのに、「流し虫」と呼ばれる、羽のあるシロアリの来襲がある。

 梅雨時のムシムシするような夜に大群でやってくる。窓を開けていると、家の中がとんでもないことになる。

 私が子どもの頃、屋久島ではまだ網戸もエアコンも普及しておらず、と言うか、我が家にはその両方ともなかったので、寝るときは、窓を全開にして、蚊帳の中で寝るのだった。

 このシロアリが大群で押し寄せるのはムシムシする梅雨時期なので、当然、窓を開けている。そこへ、大群のシロアリが襲撃してきて、電気にぶつかった畳に落ちる。そして、畳の上を這い回る。

 実際に見たことがない人には想像しにくいかもしれないが、それはおぞましい光景である。

 祖母や両親は、このシロアリのことを「キジラ」と呼んでいた。屋久島生まれの人や屋久島での生活経験がある人に「キジラと呼んでいましたか」と聞いても、そんな記憶はないと言う。

 それで、ネットで調べてみると、鹿児島や宮崎あたりではそう呼ばれているらしい。
 
 話は変わって。

 2か月ほど前に、叔母(父の妹)の一周忌法要があった。法要のあとのお清めの食事のとき屋久島のことを話していると、このシロアリの話題になった。
 すると、従姉の夫(70歳半ば)が「ああ、キジラのことね」と言った。
 
 彼は東京の生まれ育ちである。従姉も東京生まれの東京育ちである。屋久島には40年ほど前に一度行ったことがあるだけのはずだ。それなのに、「キジラ」という言葉を覚えていたとは。
 
 屋久島に行ったときキジラに遭遇し、私の両親や祖母に「キジラ」という名前を聞いたのだろうが、その後、「キジラ」という言葉を東京で耳にすることはなかったはず。
 
 屋久島での「キジラ」の印象がよほど強かったのだろうか。

56828191_2106941329426563_4359623652069605376_o.jpg
posted by 赤井田拓弥 at 15:52| Comment(0) | 屋久島のこと