2013年12月18日

カリフォルニアの青い空 砂漠での生活 ― 21


フランク・シナトラ邸



 砂漠のある Coachella Valley の町は避寒地である。11月の Thanksgiving が過ぎた頃から、アメリカの北部の州やカナダから、冬のあいだをこの町で過ごそうとする人たちが押しかける。
 逆に3月から4月の Easter を過ぎると、その人たちが帰ってしまうので、町は閑散としてしまう。

 ただ、今では通年で過ごす人も増え、私が住んでいた頃に比べると、人口もずいぶん増えたようだ。

 雨が降ることは滅多にないのだが、珍しいことに、この Coachella Valley の多くの地域が海面下なのである。下の写真は私が住んでいた Indio という市境を示す看板だが、右下に 「ELEV ―13」 とある。つまり、海面下13フィートということである。

indio-city-limit.jpg



 海面下にあるためか、地下水が豊富である。農地の灌漑だけでなく、ゴルフ場、民家の庭の散水などが、地下水で賄われている。
 したがって、砂漠の町でありながら、緑が多いところなのである。

 ゴルフ場が多いので、ゴルフやテニスをして週末や休日を過ごすセレブの別荘があちらこちらにある。

 若い人たちには馴染みのない名前だろうが、昔の有名どころでは、William Holden, Bob Hope, Frank Sinatra たちである。こうした大物になると、別荘ではなく住居として住んでいた。ロサンゼルスやハリウッドでの仕事には、Palm Springs の飛行場から自家用機で通えばいいのである。

 花の配達をしていたある日、フランク・シナトラ邸に遊びに来ていたサミー・デイヴィス Jr. 宛てに、誰かから生け花のプレゼントがあった。年配の人たちは、サミー・デイヴィス Jr. は、サントリーのウィスキーのコマーシャルで覚えておられることだろう。

 「誰が配達に行くか?」 と言われたとき、私は真っ先に手を挙げた。

 フランク・シナトラ邸に行くのは初めてだった。また、その後も行く機会はなかったが。
 門の前に車を停め、大きな門に近づくと、門にしつらえられたスピーカーから Who is it? と音声が流れる。もう、その当時から防犯カメラが取り付けてあったのだ。
 どこにマイクがあるか分からなかったが、私は門に向かって 「花の配達に来た」 と叫んだ。

 すると、ドアが自動 (たぶん) で内側に向かって開き、中から、腰に拳銃を下げた男が Come in. と言った。そして、Follow me. と言って、歩き始めた。

 門を入ってすぐ右に20数台が停められる駐車スペースがあり、私が見たとき、ロールスロイスが4台ほど、メルセデスベンツやアメリカのキャデラックサンダーバードなどの高級車が10数台並んでいた。

 その高級車の横を過ぎて建物に向かって歩きながら、そのガードマンに、「この花はサミー・デイヴィスさん宛てです。サミーさんのサインをもらいたいのですが」と言ったが、「あ、サミーは今ゴルフに行っていていないよ。サミーのカミさんならいるけど、彼女のサインでいいか?」と言われた。

 今でも後悔するのだが、なぜかその時は「いや、だったらいいです、どなたのサインでも」と言ってしまい、厨房にいた sheep、いや違った、執事のサインをもらって帰ってきた。

 今考えると、サミー・デイヴィス Jr. の奥さんのサインでも、持っていると十分に自慢できたと思うのだが。

posted by 赤井田拓弥 at 22:29| Comment(0) | カリフォルニアの青い空
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