2013年10月23日

元 「読奨生」 の西の空  『鳥かごの詩』 ― 12


私が非喫煙者である理由(わけ)― その2

 これまでも書いてきたように、新聞配達をしながら学校に通う 「育英奨学生」 の生活は、けっこう大変ではある。

 朝4時に起きて朝刊を配達し、朝食を食べて部屋に帰るのが7時半から8時ごろ。大学の1時限目は9時からなので、準備をして出ると、ちょうどいい時間に大学に着く。部屋から大学までは、歩いて20分ほどだった。

 夕方は4時までに店に行かなければならなかった。夕刊の配達が終わって晩飯を食うと、だいたい7時頃である。

 ふだんは、このまま自由な時間となるが、月末と月初めは、晩飯後に集金に出る。月末、月初めの日曜日はほぼ全日、集金に走り回っている。そして、月が変わると、定数表を作る。読者名簿である。それと、順路帳 (配達順路を示したもの) を書かなければならない。

 自分で配達するのだから、順路帳なんて不要では?と思われるかもしれないが、病気になったり急用ができたりすると他の者が配達しなければならないので、順路やどんな家なのかなどを記しておかなければならないのである。

 今みたいにパソコンやワープロがなかったから、すべて手書きで書き直しである。順路帳は、止めた読者を赤字で消したり、ますのあいだに書き込んだりしてはいたが。これも2〜3か月に1度は、しっかり作り直さなければならない。


 そんなこんなで、奨学生は1日に確実に8時間、集金や拡張業務を入れると、10時間労働になっていたように思う。これに加えて、一応学校にも行かなければならないから、時間がなかった。

 こうしたことが原因か、私の性格か、時間に対して病的にシビアに考えるようになった。

 まず、蒲団に寝なくなった
 蒲団に入って寝付くまでに10〜20分かかることがある。この時間がもったいないと思い始めた。もし寝付くまでに毎日10分かかったとすると、1週間で1時間、1年では50時間も無駄な時間を蒲団の中で過ごすことになる。

 これは大変な無駄だからと思い、睡魔で我慢ができなくなるまで寝ないことにした。そして、我慢できない睡魔が襲ってくると、夏はそのまま畳に寝転がって、ブランケットを掛けて寝る。冬はこたつだから、そのまま寝る。

 大学の3年次と4年次の2年間、私はこうやって蒲団無しで過ごした


 こんな考えをタバコに当てはめてしまったのだ。

 「シケモク」という言葉がある。途中まで吸って消したタバコの吸い殻や、その吸い殻を拾ってまた吸うことを言う。夜中にタバコを切らした友人たちが、これをやっていた。

 タバコを吸う時間がどうのと言う前に、私は、まずこのシケモクに嫌悪感を覚えた。タバコを切らした友人が下宿屋のほかの友人のところにタバコをもらいに行くのを見たし、また、逆にほかの友人がもらいに来るのを見たこともある。この時間がもったいないと考えた。

 また、タバコに火を点けて吸い、もみ消すまで数分かかる。1日に30本吸うとなると、けっこうな時間をタバコのために無駄遣いしていると思えたのである。


 そして、「こんなに時間を無駄遣いするタバコは、オレは吸わない」と決めたのであった。

 
posted by 赤井田拓弥 at 18:08| Comment(0) | 鳥かごの詩
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