第二次大戦後、アメリカ軍が日本に進駐してきたため、その軍属の人たちに分かるようにと、街中にいろいろな英語の表示が見られるようになったそうです。
そうした中から、間違っている表現や誤解を招く表現などを集めた本があります。
Gems of Japanized English
というタイトルの本です。
この本から、いくつか紹介しましょう。
Cars Will Not Have Intercourse on This Bridge

2台の車がすれ違えないほど幅が狭い橋のたもとに立てられていた掲示の表現です。
intercourse という単語は、辞書には 「(考え・感情などの)交換」 という語義も出てきますが、今では「性交渉」以外で使われることはほとんどありません。
ですから、ネイティブ・スピーカーの感覚では、イラストのような情景を思い浮かべてしまうのでしょう。
Ladies Have Fits Upstairs

「女性は2階で試着をすることができます」と言いたかったのでしょうけど、have a fit は「発作を起こす、ひきつけを起こす」という意味なのです。
ですから、イラストのように、店の前の女性がひきつけを起こした自分を思い描き、店に入るのを躊躇しているというわけです。
Do Not Enter Bath with Soap Bubbling Body

日本の風呂の入り方を注意した掲示です。「石けんの泡が付いた身体のまま風呂桶に入ってはいけません」という意味にしたかったわけですね。
意味は十分に通じる表現にはなっていますが、soap bubbling body という表現では、「石けんの泡が身体から吹き出している」状態を表してしまいます。
名詞を修飾する現在分詞
現在分詞は名詞を修飾する形容詞の働きをすることができます。ただ「〜している何々」という意味のつもりで <現在分詞+名詞> にしてしまうと、ネイティブ・スピーカーには奇妙に思える表現になったりするので、注意が必要です。
例えば、That woman is smoking. は「あの女性はタバコを吸っている」 で正しい文ですが、「タバコを吸っている女性」 という意味にしようと、a smoking woman とすると、「身体から煙を出している女性」 となってしまうのです。
続きは次回に。