2017年06月21日

ホテルで男に襲われそうになった話の続き。


 男と同じホテルの同じ部屋に泊まることにしたが、だんだん不安になってきた。

 最初は、同じ部屋に泊まり、私が寝入ったころを見計らって物を持ち逃げするのではないかと思った。
 いろいろと話していて、確かに弁護士のようだし、そういった犯罪を犯すような人には思えなかったので、その疑念は外せると考えた。

 そして、彼がゲイ(ホモ)ではないかと思い当たった。

 「食事に行こう」 と言うので、ついていった。やや高級そうな日本料理屋である。「僕はあまり金がないから、こんなところは」 と辞退したが、自分が払うと言う。
 ごちそうになることにした。食べたのは天ぷら定食。

 ホテルへの帰り、ウォーターフロントのバーに寄った。そこで彼が注文したのが Irish coffee。そして、私にもそれを頼めと言う。

 この時点で彼がゲイであることがはっきりした。

 アイリッシュ・コーヒーというのは、コーヒーに Irish whiskey を入れた飲み物である。

 当時、ゲイが多いとされるサンフランシスコでは、アイリッシュ・コーヒーはゲイが好むコーヒーだとされ、頼むときには注意しろと言われたものだ。
 アイリッシュ・コーヒーを飲んでいるのがゲイの人たちに分かると言い寄られるよ、というのだった。

 もちろん、それまでゲイの男性と同じ部屋に泊まったことなどなかったから、焦った。もうすでに夜の11時を過ぎていた。すでに5ドルを彼に払っていたし、これからほかのホテルを探せるとは思えなかったので、なんとか朝までやり過ごすことにした。

 部屋に戻ると、さっそく、「ゆうべは列車で寝てシャワーを浴びていないから」 と彼に伝え、すぐに bathroom に飛び込んだ。
 お湯をいっぱいに溜めてゆっくりと。一度お湯を捨てて、また溜め、時間を使った。彼がそのうち眠り込んでくれるだろうと思ったのだ。

 小一時間をかけて風呂に入り、出てきてみると、彼は起きていた。ああ、やっぱり。

 もちろん、別々のベッドに入って寝ようとしたが、彼がいろいろと話しかけてくる。

  Did you like the Irish coffee?
  Do you like pajamas?
  Do you know karate?

などなど。
 
 少しうとうととしかけたとき、すぐそばに人の気配を感じて目が覚めた。そして、こんな会話になったのだった。

  私: What are you doing? What time is it?
  彼: Do you really wanna know what time it is?
  私: Not really, but you'd better go to sleep because you're gonna drive long way to Canada tomorrow.


 夕食のときの会話で、次の日に車を借りてカナダのバンクーバーに行こうという約束になっていたのだった。

 最後に、彼がこう言った。

  I'm restless. Let's have fun before we go to sleep.

 私は No way! と言って、シーツを身体にぐるぐる巻きにして、まんじりともせずに夜を明かしたのだった。

 次の朝、彼はゆうべの騒動は忘れたかのようにケロッとしていて 「カナダに行くよ、起きなさい」と言ってきたが、私はもちろん断った。


 この話をしたところ、ある人は 「ホテル代やディナーを出してもらったのだから、思いを遂げさせてあげればよかったのに」とのたまわった。
posted by 赤井田拓弥 at 19:18| Comment(0) | 生活英語
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