2017年02月27日

「ネイティブはこう言う」 について


all the time と at all times

 ある雑誌に、英語圏で使われている看板や掲示、交通標識などを使って 「生活英語」 を学習する特集記事を書くように頼まれたことがあります。

 それで、下の写真を使って、

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at all times なので、このドアは開けることができます。もし all the time が使われていたら、開かずのトビラです

と書いたところ、編集部から「ネイティブ・スピーカーのスタッフが at all timesall the time は同じように使われると言っているので、この原稿は使えません」という通知が来ました。

 それで私が 「at all times は複数形で、all the time は単数形(不可算名詞)なのに、どうして同じように使われるのか、その違いを説明してほしい」 とたずねても、そのネイティブ・スピーカーは明確に答えてはくれませんでした。

 自分でも分からなかったのでしょう。

 しかし、次の2つの例文を見てください。

【例】 Fasten your seatbelt at all times.
   I have my smart phone switched on all the time.


 上の文は「シートベルトはいつも締めましょう」という意味で、下の文は「私はスマートフォンの電源はいつもオンにしている」という意味ですね。

 いずれも、日本語では 「いつも」 という意味になります。

 英語の表現で「これでいいのだろうか」というとき、私たちはよく「ネイティブはそう言う」と言って、彼らが言うことを金科玉条のごとく信じていることが多いのです。しかし、日本語で考えてみても、間違った日本語を使う人が多い表現もあります。

 例えば、「的を射た表現だ」というのを「的を得た表現だ」と言う人のほうが多いのです。
 文化庁が発表した平成15 年度の「国語に関する世論調査」では、本来の言い方である「的を射る」を使う人が 38.8 パーセント、間違った言い方「的を得る」を使う人が 54.3 パーセントという逆転した結果が出ています。

 この結果を見ても、使う人が多いから、ネイティブ・スピーカーがそう言うから正しい表現だとはとても言えません。なぜ、英語だと 「ネイティブはそう言う」 から正しいことになってしまうのでしょうか。

 日本に英語を教えに来ているネイティブ・スピーカーのほとんどは大卒だと思いますが、日本人の大卒でも、日本語の文法をしっかり理解し正しく表現を使っている人は、ま、そんなに多くはないでしょう。

 英語のネイティブ・スピーカーも推して知るべし。文法を知らなかったり表現の違いを正しく知らなかったりという人も多いのです。

 さて、最初の at all times all the time に話を戻しましょう。

 例文の Fasten your seatbelt at all times. (シートベルトはいつも締めましょう) の文で、at all times の代わりに all the time を使うことはできません。車を降りてもシートベルトをしていることになってしまいます。「乗ったときはいつも」ということですから、at all times でなければならないわけです。

 逆に、「スマホの電源はいつも入れている」に at all times を使うと、「使うときはいつも電源を入れる」となりますが、そもそも電源を入れなければスマホは使えませんから、けったいな文になりますね。



 こうした話は、この本で見てみてください。

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posted by 赤井田拓弥 at 09:59| Comment(0) | 生活英語
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