2019年12月10日

英語ができるということ。

英語のネイティブ・スピーカーに対して「あの人は英語ができる」と言う人はいない。また、日本人の英文学者に対して言うこともない。

 私たちがふつう「あの人は英語(語学)ができる」と言うのは、「英会話ができる人」に対してである。
 
 大学教育を受けた英語のネイティブ・スピーカーが読んだり聞いたりする際の「理解語彙数」は5万〜6万だと言われる。そして、ライティングのための「使用語彙数」が約12,000語で、スピーキングのための使用語彙数は、その半分の約6,000語だと言われている。
 
 理解語彙数と使用語彙数のあいだにはこれだけの差があることは理解しておいたほうがよい。使用語彙数が理解語彙数に追いつくことはあり得ない。

 ラドー博士が「アメリカの大学に留学する外国人留学生には1万語の語彙力が必要である」と言ったのは、こうしたことに基づく。
 
 ライティングに対してスピーキングのための使用言語が少ないのは、話すのは瞬時の行動なので、使用語彙を多く思いつく時間がないからである。
 
 冒頭で述べた「英語ができる人」を育てるために、「英語学習はスピーキングが重要なのだ」という声も高い。

 スピーキングに特化した英語学習を続けるとどうなるか。上で述べた「ネイティブ・スピーカーがスピーキングに使う使用語彙である6,000語が「理解最大語彙数」となり、それを超えないまま英語学習が終始することになる。

 そうなると、12,000語で書かれた英文が読めるようになるはずがない。
posted by 赤井田拓弥 at 10:41| Comment(0) | 雑文