2019年06月13日

ネコは自殺する


梅雨時になると思い出すことがある。

もう50年以上も前だが、屋久島の我が家に「つゆ」という名前のネコがいた。

集落の公民館で上映された映画を見た帰り、小川のほとりで鳴いていた子猫を拾ってきた。入梅の日、つまり6月11日だったので、父が「つゆ」と名づけたのだった。

「つゆ」は、なぜか当時中学生だった長兄にいたく懐いた。

長兄は当時、納屋の2階に部屋を作って、そこを勉強部屋兼寝室にしていた。
朝、母や父が「兄ちゃんを起こしてきて」と言うと、納屋の2階の兄の部屋まで起こしに行く。「つゆ」が帰ってくると、必ずそのすぐあとから兄がやって来る。

「つゆ」が帰ってくるのに少し時間がかかることがある。すると兄が、「つゆに耳や鼻を咬まれた」と言うのだ。兄が起きないと、「つゆ」は起きるまであちこち咬んだりしたらしい。
 
長兄が当時できたばかりの国立高専の一期生の受験に失敗し、しばらく家にいたが、「屋久島高校に進学した中学の同級生と会うのが恥ずかしいから、東京に行きたい」と言うので、父が妹(私たちの叔母=去年亡くなった)を頼って二人で上京した。
 
長兄がいなくなって2,3日した頃から、「つゆ」の姿が見えなくなった。
 
あちこち探したところ、家から200メートルほど離れたポンカンの木の根元で死んでいるのが見つかった。
posted by 赤井田拓弥 at 17:44| Comment(0) | 雑文