2018年08月02日

at the morning という表現


 ある本を読んでいて、ロバート・ブラウニングの「春の朝(あした)」をチェックしようと思い、『海潮音』(上田敏訳詩集)を買った。上田敏は、中学か高校で習う「山のあなた」で知っている人も多いことだろう。

  山のあなたの空遠く
  「幸」住むと人のいふ。
  噫、われひとゝ尋めゆきて、
  涙さしぐみ、かへりきぬ。
  山のあなたになほ遠く
  「幸」住むと人のいふ


閑話休題。

 上田敏による「春の朝」は次のとおり。

   時は春
   日は朝(あした)
   朝(あした)は七時
   片岡に露みちて
   揚雲雀(あげひばり)なのりいで
   蝸牛(かたつむり)枝に這ひ
   神、そらに知ろしめす
   すべて世は事も無し


 そして、ブラウニングによる原詩はこれ。

   The year's at the spring
   And day's at the morn;
   Morning's at seven;
   The hillside's dew-pearled;
   The lark's on the wing;
   The snail's on the thorn:
   God's in His heaven−
   All's right with the world!


 さて、この詩で気になったのが、at the springat the morn (morning のこと)の at である。

 通常、私たちは spring morning のように、ある程度の幅がある時間には in を使うと認識していると思う。

 ここでは、「四季では春がよい」、「一日のうちでは朝がいちばんだ」というような意味で使っているので、in ではなく at が用いられているというわけである。

 清少納言の『枕草子』を思わせるような詩である。

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posted by 赤井田拓弥 at 10:27| Comment(0) | 雑文